先進国の多くが喫煙の弊害を強く訴えており、わが国でも禁煙への取り組みが徐々に浸透しつつあります。

 妊娠中の女性においては家庭内での能動喫煙、職場での受動喫煙に伴う胎児への危険性が憂慮されています。

 タバコにはニコチン、一酸化炭素、シアン化合物などが含まれており、このうち体内に吸収されたニコチンはその末梢血管収縮作用により子宮動脈を収縮させ、母体より絨毛間腔への酸素補給を妨げます。一酸化炭素は容易に胎盤を通過し、胎児体内で胎児赤血球に統合し、酸素と赤血球の統合を阻止するため、胎児は慢性の低酸素血状態になります。さらにフリーラジカル産出による胎児細胞障害が示唆されています。

 喫煙は周産期死亡 、低出生体重児、常位胎盤早期剥離などの合併症を高率に惹起することがわかり、1985年には胎児性タバコ症候群の概念が提唱されました。この症候群は@妊娠中毎日5本以上喫煙し、A妊娠中母体高血圧は認めず、B妊娠37週以降体重が2500g未満の均衡型IUGR(子宮内胎児発育遅延)で、Cほかに明らかにIUGRの原因がない、の4項目を満足するものと定義されています。

 1日10本以上の喫煙の継続は早期流産の危険を高め、1日20本以上では胎児に中枢神経系の障害を招くことがわかっています。

 ですから、妊娠を希望した時点で喫煙をやめることが大切です。最近では受動喫煙の弊害が問題視されています。受動喫煙がどの程度胎児異常につながるかの詳細な研究はこれからですが、妊婦のいる環境での喫煙は恥ずべきこと、禁煙は人としての最低限のマナーです。

 一方、飲酒の常習は流産の危険を高めるとの報告があります。ただし、どの程度のアルコールが流産を引き起こすかについては結論が出ていません。また、母体がアルコールを摂取すると頭蓋顔面奇形すなわち眼裂短小、上顎骨発育不全、また四肢の奇形、心臓脈管系の奇形などを発症することが報告されています。過量 の飲酒の常習は上記のような奇形を伴った胎児性アルコール症候群発症の危険があります。この病気は児の成長障害、精神運動発達遅延、先天奇形などを伴います。妊娠中に中等量 のアルコールを摂取しても胚子の発生に有害であるといわれていますので、妊娠の可能性がある時期からは飲酒の習慣はやめる事が大切です。なお、飲酒時のセックスで妊娠しても胚子には問題ありません。

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