チョコレート嚢胞は、本来子宮の内側にある子宮内膜が卵巣に発生することで起きる子宮内膜症の一種です。卵巣に発生した子宮内膜病巣は月経時に出血し、その出血は排出されず、卵巣内に貯留し、徐々に溜まっていき嚢胞を形成します。卵巣内に溜まった古い血液がチョコレート色であるため「チョコレート嚢胞」と呼びます。

症状

月経困難症

月経時の下腹痛（他の部位にできる子宮内膜症よりも痛みが強いといわれています。）

慢性痛（月経時以外の痛み）

下腹痛・腰痛。

不妊症

排卵障害、卵管の癒着などが不妊の原因。

急性腹症

破裂すると急に強い痛みが出現し、緊急手術が必要となります。

診断

• 経腟超音波検査
• MRI検査：悪性腫瘍の鑑別に有用
• 腫瘍マーカー（CA125など）

治療

子宮内膜症と同じです。

子宮内膜症について詳しくはこちら

OC（低用量ピル）・LEP（ヤーズ、ヤーズフレックス）・プロゲスチン（ジエノゲスト）などホルモン治療で排卵を抑え、エストロゲンの分泌を抑え、子宮内膜の増殖を抑え、病巣を萎縮させます。

OC・LEP・プロゲスチンなどのホルモン治療は、月経困難症の症状が改善するだけでなく、子宮内膜症・チョコレート嚢胞を治療することも予防することもできます。

6cm以上（40歳以上では4cm以上）のチョコレート嚢胞は、卵巣がんになることがあるので手術をお勧めします。

手術後、再発することも多いので、術後にOC・LEP・プロゲスチンなどのホルモン治療を行います。子宮内膜症は完治させることが難しく「治る病気」ではなく「付き合っていく病気」です。ホルモン治療を行い、子宮内膜症をうまくコントロールしていきましょう。