月経不順・無月経
月経とは、ほぼ1か月の周期で、子宮内膜が剥がれ落ち血液とともに体外に排出される現象です。月経周期とは、出血が始まる月経開始日から次の月経の前日までの期間のことです。正常な月経周期は25〜38日間ですが、月経周期がこれよりも長くなったり短くなったりするものを月経不順(生理不順)といいます。極端に月経周期が長い・短い場合は、何らかの異常がある可能性があります。
正常な月経周期 | 25~38日 |
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頻発月経 | 月経周期が24日以内のもの |
希発月経 | 月経周期が39日以上3か月以内のもの |
無月経 | 3か月以上月経がこないもの |
原発性無月経 | 満18歳になっても初経が来ないもの (通常15歳までに初経を認めますが16歳になっても初経が認められない場合は精査を開始した方が良いでしょう。) |
閉経 | 1年以上月経が来ない状態 |
Cause
月経不順の原因
ストレス、ダイエットによる過度の体重減少、やせ(BMI18.5未満)、肥満(BMI25以上)
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、早発卵巣不全(40歳未満の閉経)
プロラクチン産脳下垂体腫瘍、甲状腺機能障害
精神安定剤など薬剤の影響、抗がん剤治療・放射線治療の影響など。
初経(初めての月経)から数年間は排卵のリズムが確立されていないため月経が順調に来ないことはよくあります。この頃の多少の月経不順は心配しなくてもよいでしょう。
月経不順・無月経の訴えで受診される人の中には、妊娠していることも多く認められます。普段から月経不順の人は妊娠していても妊娠に気づくのが遅くなりがちで、中絶希望の人が中絶の時期タイミングを逃してしまうこともよくあり注意が必要です。
月経不順だと思っていたものが、実は月経ではなく不正出血(月経以外の性器出血)である場合もあります。不正出血では、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、卵巣腫瘍、子宮頸がん、子宮体がん、血液凝固異常などほかの病気がみつかる場合があります。また、月経不順を放置することによって不妊症の原因になったり、骨粗鬆症のリスクが高くなったりします。ただの月経不順だからといって自己判断で放置したりせずに、はやめに産婦人科を受診してください。
Treatment
月経不順の治療方法
Holmstrom療法(ホルムストローム療法)
周期的にプロゲスチン(プロベラ・デュファストンなど)を7~10日間投与。3~4周期繰り返し、その後経過観察を行います。
Kaufmann療法(カウフマン療法)
周期的にエストロゲンとプロゲスチン(プレマリン・プラノバールなど)の投与を3~4周期繰り返し、その後経過観察を行います。
低用量ピル(OC)・低用量エストロゲンプロゲスチン配合薬(LEP)
OC・LEPは、Kaufmann療法(カウフマン療法)と同じように周期的にエストロゲンとプロゲスチンを投与していますのでホルモンのリズムを整える効果が期待できます。
低用量ピルについて詳しくはこちら妊娠希望の人には、不妊治療として排卵誘発剤を投与します。
甲状腺機能障害・高プロラクチン血症などがあれば、先ずはそちらの治療を原則とします。
BMI 18.5未満のやせ(低体重)では、過度のやせ願望や精神的な問題や下剤・やせ薬などの薬物乱用などがある場合もありますので、心療内科・メンタルクリニックの専門的対応も併せて行っていきます。