乳房マッサージ
当院では、お母さんが自分で自分の乳房を管理・マッサージするSMC(母乳自己管理、セルフマンマコントロール)方式乳房マッサージをお勧めしております。
子育ては親がするものです。そして、母乳は他人に出してもらうのではなく、自分自身の努力で出すもの、ということをしっかり認識しましょう。
産後、スムースに母乳が出るようにするためには、妊娠中からの乳房のお手入れがとても重要になります。妊娠16週(5か月)になったら乳房のお手入れを始めましょう。
おっぱいのしくみ
妊娠するとお母さんになる準備の一つとして乳房が変化します。母乳をつくる工場(乳腺組織)が設備され始めるのです。そのため、おっぱいが大きくなったり、張ったりすることがあります。
おっぱいを作るところは、乳腺組織(乳腺房の集まったもの)で、そこを血管は支配し、血液の成分から乳汁は乳管を通って途中の乳管洞と呼ばれる部分で少したまり、乳口から出てくるのです。
乳腺組織を支配している血管は基底部と呼ばれる乳房の土台の部分を通っており、その土台の部分で血液の流れを悪くするようなことが起きると、母乳の出は当然悪くなります。
その基底部の所の血液の流れを良くするのが、おっぱい体操の主な意とするところです。
おっぱい体操(SMC方式)
生理前中に張った胸にも効く体操です。
片方の手でおっぱいを保護して、もう一方の手でマッサージをします。保護している手はあくまでも保護ですから、その手でおっぱいを動かしてはいけません。また、基底部マッサージですが、これは、おっぱいの底の部分を動かすようにするのであって、おっぱいの組織そのものをもみほぐすようなことをしてはいけません。
妊娠16週に入ったら毎日お手入れをしましょう
注意
妊娠中におっぱいに触れると、流産の原因になると言われていますが、この位の刺激ではその心配はまずありません。特に妊娠中、夫婦生活が行われ、それで問題が無い方でしたら、全く心配はいりません。しかし、流産や早産しやすい方、先生から安静の指示が出ている方は、やめておきましょう。
方法
お風呂や寝る前などのリラックスした時に、基底部マッサージ1回、乳頭・乳輪部マッサージを1〜2分行います。
乳首に触れるだけで痛いような方は、まず圧迫刺激に慣れるようにしてからマッサージをしましょう。
乳首のへこんでいる(陥没乳頭)の方は、まず乳首を圧迫して出すようにします。必要に応じて乳頭吸引器を使用すると良いでしょう。突出した乳首を、まず圧迫刺激に慣れるようにしてからマッサージをしましょう。
授乳の前に必ず行いましょう
母乳をあげる前の準備体操です。
お産が終わってあまり日が経たない頃は、基底部マッサージを5分(4〜5回)、乳頭・乳輪部マッサージ(圧迫のみ)を10〜15分行いましょう。
母乳が十分でるようになったら、基底部マッサージは止め、乳頭・乳輪部マッサージ(圧迫のみ)を2〜3分行いましょう。
基底部マッサージ
操作1 (ゆっくり充分力を込めて左右3回ずつ行います)
まず、マッサージする乳房と反対側の手の指を広げ、指先を軽く曲げバスケットボールをつかむような感じで、マッサージするおっぱいの周辺部分に当てます。
大きいおっぱいは、おっぱいを下からすくい上げ、指先が腋窩(脇の下)まで届くようにして、外側から保護します。
大きいおっぱい
次にマッサージする側の肘を真横に突き出し、手首を反屈させ、指先が顔の方を向くようにまわし、母指球(親指の付け根のふくらんだ部分)を保護した指の外側の部分にあてます。
このとき、保護している指の上に乗せてはいけません。
大きいおっぱい
肘を上下に動かします。
丁度肩からの力がテコを利用した時のように母指球を介して基底部(おっぱいの底の部分)を動かすわけです。
この時の肘の動きは、真横から見ると体と一致するように上下に一直線に動いてみられます。
母指球に力を入れて動かすのであって、手のひらでおっぱいをつぶすようにしてはいけません。
大きいおっぱい
操作2 (ゆっくり力を込めて左右3回ずつ行います)
まず、指をそろえて小指側をおっぱいの外側下方(斜め下)の周辺部分に当て、おっぱいを保護します。
肘を真横に突き出し、手首を反屈し、今度は指先が下を向くようにまわします。
小指球(小指の付け根のふくらんだ部分)を保護した手の外側に当てます。
肘を上下に動かします。
操作3 (ゆっくり力を込めて左右3回ずつ行います)
まず、指をそろえて小指側をおっぱいを下から保護します。
肘を真横に突き出し、手首を曲げずに、保護した手の下側に当てます。
肘を中心に前腕でおっぱいをすくい上げるようにします。
この時、腕全体で持ち上げてもいいですが、腕が疲れてしまいます。
乳頭・乳輪部マッサージ
構え
片方の手でおっぱいを保護、マッサージする手の親指・人指し指・中指で乳首をつまみます。
圧迫
普通で3秒、乳首が硬ければ5〜10秒かけて少しずつ圧を加えながら圧迫します。
※圧迫する指が白くなるくらいまで充分圧迫します。痛みを覚える程に無理矢理してはいけません。
最初はゆっくり、乳頭・乳輪部を、位置、方向を変えながら1分くらい圧迫します。
乳首の硬い人、過敏な人は2、3分くらい充分行って下さい。
次に、横方向、縦方向にこよりを作るような感じでもみずらします。最初はゆっくり痛くない程度に、ある程度したら充分もみます。
乳首が敏感で、圧迫刺激だけでも痛い人は、まず圧迫刺激になれるようにします。
次に、縦方向にも、もみずらします。
一連のマッサージをゆっくり時間をかけてやってみてください。