ピルとは?
日本で一般的にピルと呼ばれているのは、経口避妊薬(oral contraceptive:OC)のことです。
女性が主体的に使える避妊方法です。ピルは飲む忘れなく正しく服用すれば99.9%の避妊効果が期待できます。日本でも「自分の身体は自分で守る」ためピルを飲む人が増えています。また避妊以外のメリット(副効用)もたいへん注目されています。
1960年代に使われていたピルはホルモンの含有量が多くの副作用もそれなりに多かったのですが、現在では副作用を減らすためホルモンの含有量を減らした低用量のものが使われおり、低用量ピルとも呼ばれて、より副作用が少なくより安全になっています。
Mechanism
ピルによる避妊のメカニズム
1
排卵抑制作用
ピルに含まれる2つの女性ホルモン卵胞ホルモンと黄体ホルモンが脳下垂体にはたらき卵胞を成熟させるホルモンの分泌を抑えます。そのため卵胞は成熟せず、排卵が抑制されます。
2
受精卵着床抑止作用
子宮内膜が厚くならず、万が一排卵しても受精卵を着床しにくくします。
3
精子の子宮内進入抑止作用
子宮頸管の粘膜を変化させて精子を子宮に入りにくくします。
Type&Price
レディースクリニックまぶちで取り扱っているピル
トリキュラー28 … 2,940円(税込)
トリキュラーは、3相性のピルです。3相性のピルは含有するホルモン量が3段階に変化することでより自然なホルモン分泌変動に近づけてあり、不正出血が起こりにくいとされています。
マーベロン28 … 2,970円(税込)
マーベロンは、デソゲストレルという第3世代の黄体ホルモンが配合されていて、そのため男性ホルモン抑制効果が高くニキビ・多毛症の改善が期待できます。しかし、性欲の減退や抑うつといった副作用も少数ながら報告されています。またトリキュラーと比べると血栓症のリスクがやや高くなり注意が必要です。
ラベルフィーユ28 … 2,820円(税込)
ラベルフィーユ28は、トリキュラー28のジェネリック医薬品です。少しだけ価格が低いのが特徴です。
ファボワール28は、品質上、使用期限が3年と記載されていましたが、2018年6月に3年間品質保持ができない可能性があることが判明し、販売中止・自主回収の措置を取りました。 そのため、現在当院では取り扱いを中止しております。
※上記の料金は予告なく変更になる場合があります
学割制度あり
中学生・高校生・大学生は5%OFF(専門学校・大学院は対象外)
Side benefit
ピルの副効用
―避妊以外のメリット―
1
月経が軽くなる
月経痛の原因は子宮内膜で産生されるプロスタンディンという痛みの物質です。ピルを飲むと排卵が抑えられて、その結果子宮内膜の増殖を抑えプロスタグランディンの産生が抑えられ月経痛が軽くなります。また月経の量も少なくなり貧血の改善にもつながります。
2
PMS(月経前症候群)が軽快する
月経前の抑うつ・イライラ・不安・乳房痛・頭痛・腹痛などのPMS症状は、排卵が起こり女性ホルモンの大きな変動があることが原因なので、排卵を止め女性ホルモンの変動を小さくすることで症状が軽快します。
3
ニキビ・多毛症が改善
マーベロンにはデソゲストレルという第3世代の黄体ホルモンが配合されていて、そのため男性ホルモン抑制効果が高くニキビ・多毛症の改善が期待できます。
4
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の悪化抑制
PCOSではテストステロンという男性ホルモンの作用によって、卵巣の表面は月経が来るたびごとに硬くなっていきます。PCOSの状態がつづくと、卵巣表面が硬くなり、排卵障害となり不妊症の原因となります。ピルを飲むことで、卵巣を休ませることになり卵巣表面が硬くなるのを抑え、柔らかい卵巣が保たれ、将来妊娠を希望する時には妊娠しやすくなります。
5
卵巣がん・子宮体がんの予防
ピルを飲むことで排卵を抑制し卵巣を休ませます。このことで炎症物質・有害な酸化物質が放出されるのを防ぐため、卵巣がんになりにくくなると言われています。1年間ピルを飲むことで10~12%、5年で50%、10年以上で80%まで卵巣がんのリスクが減少すると言われています。
また、ピルを飲むことでエストロゲンの過剰な分泌を抑えることができ、規則的な月経により子宮内膜をきちんと剥脱させるため子宮体がんのリスクも下げると言われています。2年間ピルを飲むことで40%、4年以上で60%子宮体がんのリスクを減少させると言われています。
6
月経不順の改善・月経移動
これまで月経不順だった人もピルを飲むと28日周期で月経(消退出血)が来ます。そのため旅行などのスケジュールも立てやすくなります。もし旅行や試験など月経になってほしくない日があれば、ピルの飲み方を調整して月経を予定よりも早く来させることも遅らせることも可能です。
7
子宮内膜症の抑制
子宮内膜症はエストロゲンの影響を受けて増殖するため、ピルを飲むことでエストロゲンの分泌量を減少させ子宮内膜症の進行を抑えます。また、ピルを飲む人は飲まない人に比べて子宮内膜症の発生率が50%も減少すると言われています。
8
大腸がんの予防
エストロゲン投与が大腸がんリスクを低下させることが知られており、ピルを飲むと大腸がんの発生頻度は減少します。
Side Effects
ピルの副作用
マイナートラブル
軽度の吐き気
乳房の張り
軽度の頭痛
不正出血
など。
これらの症状は飲み始めのトラブルといい、ピルを飲み始めて1~2ヶ月で消失しますので心配ありませんが、症状がつらい・症状が長引くなどの場合は我慢しないで医師にご相談ください。
血栓症
頻度は非常に少ないですが、重大な副作用として血栓症(血管内に血のかたまりが詰まる病気)が起こる可能性があります。服用開始3か月以内は発症頻度が高いので注意が必要です。
症状は、ACHES(エイクス)という言葉で略されています。
A abdominal pain = 激しい腹痛
C chest pain = 激しい胸痛、息苦しさ、押しつぶされるような痛み
H headache = 激しい頭痛
E eye / speech problems = 見えにくいところがある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害
S severe leg pain = ふくらはぎの痛み、むくみ、押すと痛い、赤くなっている
もし万一このような症状が現れた場合は血栓症の可能性がありますので、ピルの服用を中止して、すぐに救急医療機関・循環器内科を受診してOC服薬者携帯カード提示してください。
脳卒中
高血圧・片頭痛を有する場合にリスクが上昇します。
心筋梗塞
高血圧・喫煙者の場合リスクが上昇します。
子宮頸がん・乳がん
わずかに増加する可能性があります。
Caution
注意事項
ピル服用中は禁煙してください
ピル服用中の喫煙は静脈血栓症・肺塞栓症・心筋梗塞などの副作用の危険性を高めると報告されています。ピルを服用する方は、禁煙しましょう。また35歳以上で1日15本以上たばこを吸う方は、ピルを服用できません。
以下の方はピルを処方できません(ピルを飲んではいけません)
初経発来前、50歳以上または閉経後、35歳以上で1日15本以上の喫煙者、重症の高血圧(160/100以上)、糖尿病性腎症や糖尿病性網膜症など血管病変を伴う糖尿病、手術前4週以内・術後2週以内(30分以上の手術)・および長期間安静状態、肺高血圧症または心房細動を合併する心臓弁膜症・亜急性細菌性心内膜炎の既往のある心臓弁膜症、急性ウイルス性肝炎・重症肝硬変など重篤な肝障害、肝細胞癌,肝細胞腺腫など肝腫瘍、前兆(閃輝暗点,星型閃光等)を伴う片頭痛、乳癌、血栓性素因、深部静脈血栓症・血栓性静脈炎・肺塞栓症・脳血管障害・冠動脈疾患またはその既往歴、抗リン脂質抗体症候群、診断の確定していない異常性器出血、過敏性素因、耳硬化症、妊娠中に黄疸、持続性掻痒症または妊娠ヘルペスの既往歴
ピルを飲んでも体重増加はしません
ピルを飲むと体重が増えるのではないかと心配されますが、諸外国の研究でも体重が増加した報告はありませんので、ご安心ください。
ピルを飲めば「コンドームを使わなくていい」わけではありません
ピルでほぼ確実に避妊はできますが、性感染症を予防するためにコンドームを毎回必ず使用してください。「より安全なセックス」のためには、「ピルで避妊+コンドームで性感染症予防」を行ってください。