子宮頸がん検診
子宮頸がん検診とは、子宮頸部(子宮の入り口)を、綿棒や柔らかい専用のブラシで擦って細胞を採り、細胞を顕微鏡で調べる細胞診、スクリーニング検査です。厚生労働省は、検診対象者20歳以上、受診間隔2年に1回を推奨しています。
初期の子宮頸がんは症状がないことが多く、そのため子宮頸がん検診は「症状がない人」が対象です。不正出血・おりもの・下腹部痛・性交時出血などの症状がある人は早めに産婦人科を受診してください。
子宮頸がんは、最近20歳代30歳代の若い世代に多くなってきています。日本では、年間約11,000人が子宮頸がんと診断され、年間約2,900人が子宮頸がんで亡くなっています。また、30歳までに子宮頸がんの治療のため子宮を摘出して、妊娠できなくなる人が、年間約1,000人もいます。
子宮頸がん検診により子宮頸がんを早期発見・早期治療すると、子宮を残すことに繋げることができます。「まだ若いから」がん検診は必要ないと思っていませんか。逆ですよ。「若いからこそ」がん検診を受けて子宮を残さないと、将来赤ちゃんを産めなくなってしまいますよ。
当院の子宮頸がん検診では、経腟超音波検査も行いますので、子宮筋腫や子宮内膜症・卵巣腫瘍の早期発見にも繋がります。
料金・期間
| 岐阜市子宮頸がん検診 (7月~翌年2月) | 【子宮頸がん検診】1,500円(税込) 【子宮頸がん検診+子宮体がん検診】3,000円(税込) |
|---|---|
| 山県市子宮頸がん検診 (6月~12月) | 1,500円(税込) |
| 瑞穂市子宮頸がん検診 (7月~12月) | 1,400円(税込) |
| 本巣市子宮頸がん検診 (7月~11月) | 1,500円(税込) |
※上記の料金・期間は変更になる場合があります。それぞれの市のホームページでご確認ください。
【子宮頸がん検診は何歳まで受ければいいの?】
子宮頸がん検診は、何歳になっても受けていただけます。
特に20〜69歳の方には定期的な受診がすすめられていますが、70歳以上でも、これまで検診を受ける機会が少なかった方や、過去に異常を指摘されたことがある方は、続けて受けることが大切です。
■ なぜ年齢に上限がないの?
• 子宮頸がんは、ゆっくり進行することが多く、年齢が高くなってから見つかることもあるためです。
• HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスが原因で、感染から発症までに数年〜数十年かかることがあります。
• 早い段階で見つかれば、体への負担が少ない治療で済むことが多いからです。
■ 70歳以上の方へ
次のような方は、検診を続けることをおすすめします。
• これまで検診をあまり受けていない
• 過去に「異形成」などの異常を指摘されたことがある
• 子宮が残っている(子宮摘出をしていない)
「もう高齢だから大丈夫」と思われる方もいますが、子宮がある限り、がんができる可能性はゼロではありません。
■ まとめ
• 20〜69歳: 2年に1回の定期検診がおすすめ
• 70歳以上: 検診歴が少ない方や過去に異常があった方は継続を検討
• 年齢の上限はありません。 気になる方はいつでも受けられます。
【子宮体がん検診は何歳まで受ければいいの?】
子宮体がん検診には、年齢の上限はありません。
ただし、子宮頸がん検診と違い、「全員が定期的に受ける検診」ではありません。
■ 子宮体がんが増えやすい年齢
• 40代後半から増え始める
• 50〜60代がもっとも多い
閉経後はホルモンバランスの変化により、リスクが高くなることがあります。
■ では、何歳まで受けるの?
「何歳まで」という決まりはありません。
年齢よりも、次のような“症状”や“リスク”があるかどうかが大切です。
■ 検診を受けたほうがよい方
• 閉経後に出血があった
• 月経ではない時期に不正出血がある
• おりものに血が混じる・茶色いおりものが続く
• 肥満・出産経験がない・糖尿病・高血圧がある
• 乳がん治療でタモキシフェンを使用している
これらに当てはまる場合は、年齢に関係なく検査を検討します。
■ なぜ「年齢より症状」が大事なの?
子宮体がんは、初期から不正出血などの症状が出ることが多いため、
「症状が出たらすぐ受診」がとても重要です。
子宮頸がん検診細胞診について
細胞診では、細胞の「核(まんなかの部分)」を中心に観察します。
がん細胞は、正常な細胞とは大きく違う特徴を持つため、次のような所見があると悪性の可能性が高いと判断されます。
核がとても大きくなる
正常の何倍にも大きく見えることがあります。
核がとても濃く染まる(強い核濃染)
黒っぽく、ぎゅっと詰まったように見えます。
核の形がいびつになる
丸ではなく、ギザギザ・細長い・不規則な形になります。
細胞の大きさや形がバラバラになる
正常な細胞はそろっていますが、がん細胞は不揃いになります。
核の中の構造(クロマチン)が粗く、不均一に見える
“ザラザラ”“まだら”のように見えるのが特徴です。
核分裂像(細胞が分裂している像)が多い
細胞が異常に増えようとしているサインです。
細胞診では、これらの所見が複数そろうとHSIL(高度異形成)や SCC(扁平上皮がん)を疑う という判定になります。
軽度の変化は、ちょっとした炎症や刺激・ホルモンの影響・HPV(ヒトパピローマウイルス)による軽い変化などでめずらしいものではありません。
ただし、細胞診は「スクリーニング検査」なので、最終的な確定診断は組織検査(生検)で行います。
がん細胞は、核がとても大きく、濃く、形がいびつになり、細胞全体不揃いになります。こうした“強い異常”がそろったときに、悪性の可能性が高いと判断されます。
子宮頸がん検診の細胞検査士のコメントについて
細胞検査士のコメントは「細胞の見たままの特徴を丁寧に伝えているメモ」であり、最終診断そのものではありません。
ただし、最終判定の背景を理解するうえで“参考になるヒント”にはなります。
①「細胞の状態を詳しく説明した観察メモ」
細胞検査士は、顕微鏡で見えた細胞の特徴を細かく記録します。
これは “見たままの所見” を伝えるもので、「診断名」ではありません。
例:核が少し大きい、ちょっと濃く見える、中層の細胞に変化がある、など
② 最終判定(NILM / ASC-US / LSIL など)は、医師が総合判断する
細胞検査士のコメントは、細胞診専門医(医師)が最終判定を下すための材料のひとつです。
医師は次のような情報を総合して判定します。
細胞検査士の観察コメント、細胞全体のパターン、患者さんの年齢・背景、過去の検査結果、PV検査の有無など。
つまり、コメントは “診断の一部” ではなく “診断の材料” です。
③ コメントが「軽度変化」なら、強い異常を示すものではない
「軽度核腫大」「核濃染気味」 といった表現は、あくまで 軽い変化 を示すもの。
炎症
ホルモンの影響
軽いHPV変化
などでも普通に見られます。がんを疑うような強い異常ではない という位置づけです。
④ コメントだけで不安になる必要はない
細胞診は「スクリーニング」の検査、すなわち「ふるい分け」なので、
少しでも気になる細胞があればコメントがつくことがあります。
しかし、最終判定が正常(NILM)になることもよくあります。
細胞検査士のコメントは、細胞の“見た目の特徴”を記録したものです。
最終的な診断は医師が総合的に判断しますので、コメントだけで悪い病気を心配する必要はありません。

【ASC-US(アスカス)とは?】
子宮頸がん検診で“ASC-US要精密検査”と言われた方へ
子宮頸がん検診(子宮頸部細胞診)を受けた際、結果に「ASC-US(アスカス)」と記載されていると、不安を感じる方が多くいらっしゃいます。
しかし、ASC-USは “がんではない” ことが大きなポイントです。
ここでは、ASC-USの意味、原因、追加検査の流れ、治療の必要性などを、患者さん向けにわかりやすく解説します。
初めて聞く言葉でも安心して理解できるよう、丁寧に説明していきます。
ASC-US(アスカス)とは?
ASC-USは Atypical Squamous Cells of Undetermined Significance の略で、日本語では「意義不明の異型扁平上皮細胞」と訳されます。
これは、子宮頸部から採取した細胞の中に、通常とは少し異なる形の細胞が見つかったものの、その変化が“がん”や“前がん病変”によるものかどうか判断できない状態を指します。
ASC-USの特徴
- がんではない
- 軽度の細胞変化がある“グレーゾーン”の結果
- 子宮頸がん検診で最も多い軽度異常
- 多くは自然に改善する
ASC-USは、細胞診の判定基準「ベセスダシステム」の中で最も軽度の異常に分類されます。
なぜASC-USと判定されるのか
ASC-USは、さまざまな理由で細胞の形が一時的に変化したときに出る結果です。
必ずしも深刻な病気が隠れているわけではありません。
① 一時的な炎症
膣炎や子宮頸管炎など、軽い炎症でも細胞の形が変わることがあります。
細菌性膣炎、カンジダ膣炎など、日常的に起こりうる炎症が原因となることもあります。
② ホルモンバランスの変化
閉経前後、授乳中、ピルの使用など、ホルモンの変動によって細胞が通常と異なる形になることがあります。
特に閉経後は、萎縮性変化によってASC-USが出やすくなります。
③ HPV(ヒトパピローマウイルス)感染
ASC-USの背景には、HPV感染が関与している可能性があります。
HPVは性経験のある女性の多くが一度は感染する、ごく一般的なウイルスです。
- HPV感染の90%以上は自然に消失
- 感染してもすぐに病気になるわけではない
- 一部のハイリスク型HPVが長期間持続すると、前がん病変につながることがある
ASC-USは、このHPV感染の影響で細胞が軽度に変化した可能性を示すサインでもあります。
ASC-USはがんの前ぶれなのか
結論として、ASC-US=がんではありません。
ただし、細胞診だけでは「良性の変化なのか」「前がん病変の始まりなのか」を判断できないため、追加検査が必要になります。
[実際に前がん病変が見つかる割合]
ASC-USと診断された方のうち、精密検査で 中等度以上の異形成(CIN2以上)が見つかるのは約10〜20% と報告されています。
つまり、80〜90%の方は前がん病変ではない ということです。
多くの方は自然に改善し、がんに進行するケースはごく一部です。
ASC-USの後に必要な検査
ASC-USと判定された場合、次のいずれかの検査を行います。
① ハイリスクHPV検査(推奨される標準的な検査)
現在の国際的なガイドラインでは、ASC-USに対して HPV検査を追加することが推奨されています。
[HPV陰性の場合]
- がんのリスクは非常に低い
- 1年後の細胞診で経過観察
- 精密検査は不要
[HPV陽性の場合]
- コルポスコピー(拡大鏡診)へ進む
- 必要に応じて組織検査(生検)を行う
HPV検査を行うことで、不要な精密検査を避けつつ、必要な方だけを確実にフォローできます。
② 6〜12か月後の細胞診再検査
HPV検査を行わない場合、一定期間後に細胞診を再度行い、変化がないか確認します。
ただし、近年はHPV検査の普及により、この方法は減少傾向です。
コルポスコピー検査とは?
HPV陽性の場合に行う精密検査です。
[コルポスコピーの特徴]
- 子宮頸部を拡大して観察
- 異常が疑われる部分を詳しく確認
- 必要に応じて組織を少量採取(生検)
- 痛みは軽度で、通常は外来で短時間で終了
コルポスコピーで異常がなければ、定期的なフォローで十分です。
ASC-USは治療が必要?
ASC-USそのものに対する治療は必要ありません。
重要なのは、原因を確認し、必要な場合に適切なフォローを行うことです。
[治療が必要になるケース]
- 組織検査で中等度以上の異形成(CIN2以上)が見つかった場合
- HPV感染が長期間持続し、細胞の変化が進んでいる場合
多くの方は治療を必要とせず、経過観察のみで改善します。
ASC-USと診断された方へのメッセージ
ASC-USという結果を見ると驚かれる方が多いですが、
ほとんどは軽度の変化で、がんではありません。
- よくある検査結果
- 適切にフォローすれば、がんを未然に防げる
- 不安なときは早めに相談することが大切
当院では、ASC-USの方に対して、HPV検査・経過観察まで、
患者さんの不安に寄り添いながら丁寧にサポートしています。
まとめ
- ASC-USは「軽度の細胞変化」で、がんではない
- 背景には炎症・ホルモン変化・HPV感染などがある
- 多くは自然に改善する
- HPV検査でリスクを正確に評価できる
- 必要に応じてコルポスコピーで精密検査